
「遺伝子DNA」は不変でも「遺伝子発現」は変えられる
脳の細胞と肌の細胞は同じ「遺伝子DNA」のコピーを格納しているのに、なぜ細胞の働きが違って脳であったり肌であったりするのでしょう。
それは、細胞が遺伝子DNAをもとにタンパク質を作るときに、どの種類の遺伝子から、それぞれどれだけの量のタンパク質を作るか(専門用語で「遺伝子発現」)を調節することによってなされています。
遺伝子の種類は約2万種類あり、どの細胞にもフルセット全てのコピーが格納されています。しかし、このうちのおよそ1/5〜1/10である数千種類のタンパク質しか細胞の中では作られません。
この1/5〜1/10に選ばれる遺伝子のレパートリーは細胞ごとに違っています。
選ばれた遺伝子のレパートリーの違いが細胞の働きの違いとなり、細胞を脳細胞にしたり肌細胞にしたりする決定打になっているのです。

「遺伝子発現」を正常に調節して病気に対抗する
生涯変わらない遺伝子とは違って、「遺伝子発現」を調節することは可能です。
逆にいえば、何らかの理由で遺伝子発現が正常でなくなったときには、様々な病気や体調不良に繋がってゆきます。
不調の原因になっている遺伝子発現を突き止めることができれば、これを正常に戻したり、あるいは足りなくなった働きを別の遺伝子の働きを強めて補ったりすることで、病気に対抗することができるのです。

弊社の銀座研究所で「遺伝子発現」の調節を研究している
弊社は、健康寿命を延伸する新しい方法の開発とその洗練をめざして、コツコツと基礎研究に取り組んでいます。
例えば、身体から取り出した細胞の中で、どの細胞にはどの種類の遺伝子がどれだけの量発現しているのか、そのレパートリーを解析しています。
この研究では正常な細胞だけでなく、弱まった細胞も研究します。
そして、レパートリーに含まれる数千種類のタンパク質のどれとどれが影響を及ぼし合っているのか、またそのタンパク質どうしが影響しあった結果、細胞に何が起こるのかを解析しています。なにぶん約2万種類もある遺伝子の発現する量と発現するタイミング、他の遺伝子発現との調和を調べる研究ですから、気の遠くなる道のりではあります。
しかしこういった基礎研究から、例えばβ-ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)によって調節できる遺伝子発現が明らかになり、科学的根拠に基づいたNMNによる健康増進法の洗練がはじめて可能になるのです。